本明山の名水と水晶
(江津市有福温泉町本明)

↑ 東北東側から見た本名山
 先日(令和1年12月)、久しぶりに本明山へ出かける機会があった。 温泉の町として有名な有福温泉の近くにある山で、以前から本明山をつくっている地質体に疑問があってよく出かけてたところですが、数年前、民間のテレビ番組で衛星写真に映っている山の中の一軒家を探して訪ねる、というのに出たことのある山です。

 ← 三郡変成岩(泥質片岩)の片理に斜行して貫入している石英主体の岩脈
   (脈中の小さな空隙に微細な水晶ができている)

↓石英脈にできている晶洞
 本明山の山麓一帯は、主に泥質片岩 などの三郡変成岩類や溶結凝灰岩・火山礫凝灰岩などの火山砕屑岩類ですが、さらに標高が高くなると斑岩やデイサイトに似た岩相になり、山頂付近では結晶質凝灰岩に似た岩相になります。
 どちらの岩相も斑状顕著で、斑晶状鉱物の組合せも似てますが、薄片を鏡下で観察するとその形状に明確な違いがみられます。
 このたびも、これらの岩相がどんな関係で接しているのか、岩相の境界はどこにあるのか、といったことを探して本明山の谷川を歩きましたが、やっぱりよくわかりませんでした。
 右側上の写真のものは谷川に転がっていた転石で、石英主体の岩石に晶洞ができていて、その中に長さが2〜5mmくらいの微細な水晶が群生しています。 以前から本明山は水晶を産するといわれていますが、実際に露頭で水晶を発見できることはほとんどないです。 しかし、谷川にはけっこう群生水晶を含んだ転石が多く、水晶の鉱物採集には適したところかもしれません。 我が郷土にある数少ない鉱物採集の産地といったところだと思います。
本名山山麓の谷川で見つけた群生水晶の転石 →
(右の写真をクリックすると拡大写真にリンクします)

 ← 不整合境界がみられる露頭
   (本名山山麓の林道脇)
 左の写真は有福温泉寄りの側から本名山山頂まで続いている林道沿いにある露頭で、この露頭には石英斑岩に似た斑状顕著な岩相の上を火山礫凝灰岩などの火山砕屑岩類の岩相が覆っている不整合境界があります。
 露頭は強く風化を受けていて粘土状や砂状、軟岩などになっていて境界が不明瞭になっていますが、境界付近の火砕岩の層中には下位の石英斑岩に似た斑状顕著な岩石の岩片や岩塊が多数含まれています。
 右の写真は、火砕岩中に30cm位の径の石英斑岩に似た斑状顕著な岩石の岩塊が含まれている露頭です。 強風化して砂状粘土状になっていますが、斑晶状で含まれていた石英だけはほとんど風化変質を受けずに残っています。
 左の写真は、強溶結でデイサイト質の火砕岩に特徴的に含まれている安山岩質の岩片状・岩塊状が多数寄せ集まったようになっている露頭です。
 この露頭から林道下り側へ約150m位行った付近の露頭には、径が5m位はあるのではないかと思われる斑状顕著な安山岩質の巨大な岩塊状が周囲の火砕岩中に含まれているのがみられます。

只今、作製中

以下の記事は、当館が作成して配布している「郷土の自然史ガイド」資料です。



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